いつの間にか、カフェでも雑貨屋でも見かけるようになった“クラフトコーラ”。
炭酸飲料といえば、かつては赤いラベルの定番ブランド。でも今、SNSやセレクトショップでは「クラフトコーラ」が静かなブームになっています。
ガラス瓶に手書き風のラベル。「スパイス香る」「無添加」「ご当地」──そんな言葉とともに並ぶクラフトコーラたち。なぜいま、人はこの“手づくりのコーラ”に惹かれているのでしょうか?
素材の力を感じたい。そんな時代の空気。
クラフトコーラの多くは、レモンやハーブ、スパイスなど自然の素材を煮出してつくるもの。人工甘味料や香料を使わず、素材本来の香りと優しい甘さを大切にしています。
「何が入っているかわかる」「手のぬくもりを感じる」──そんな安心感が、いまの時代にぴったり重なっているのかもしれません。
健康志向が高まる中、“体にやさしい炭酸”という新しいジャンルとして選ばれています。
もうひとつの人気の理由、それは“土地の味”。
全国で広がっているご当地クラフトコーラ。東京の「伊良コーラ」、三重の「イセカルダモンコーラ」、徳島の「AWAトクシマコーラ」、そして兵庫の「佐用ひまわりコーラ」。どれも、土地の素材や風景をボトルに詰めこんだような一杯です。
スパイスの香りに、地元の果実やハーブ。旅先で出会ったその味が、家に帰っても思い出を呼び戻してくれる。クラフトコーラは、ただの飲みものではなく“地域の物語”を伝えるドリンクになっています。
SNS世代の“映えるカルチャー”としても。
写真映えするパッケージや、丁寧に作られた瓶の佇まい。手に取るだけで少し特別な気分になれる。「クラフトコーラを飲む」という体験そのものが、ひとつのカルチャーとして広がりつつあります。
中には、音楽フェスやアートイベントとコラボするブランドも。“手仕事×デザイン×ストーリー”が生み出す新しい飲み文化。それが今、静かに人気を集めている理由です。
兵庫県佐用町から生まれた、“ひまわり”のクラフトコーラ。
兵庫県佐用町。夏になると、南光地区一帯に約100万本のひまわりが咲き誇る町があります。
その風景から生まれたのが、「ひまわりコーラ」。町の象徴でもある“ひまわりの種”を使い、シナモンやカルダモンなどのスパイスと一緒に煮出したクラフトコーラです。
口に含むと、やさしい甘みとスパイスの香りが広がり、まるでひまわり畑の風を感じるような味わい。
佐用町の自然をそのまま閉じ込めたような一本として、地元の人はもちろん、旅先で出会った人にもファンが広がっています。
“流行り”じゃなく、“想い”でつながるコーラへ。
クラフトコーラの人気は、「自分の好きなものを、自分の手で選びたい」という人の想いの表れでもあります。
その土地の素材を生かし、人の手で丁寧に作る。「ひまわりコーラ」も、そんな時代の空気の中で生まれました。
華やかさの中にある、やさしさ。それが、いまクラフトコーラが愛される理由なのかもしれません。



